東京高等裁判所 昭和31年(う)3079号 判決
被告人 小林佐喜男
〔抄 録〕
論旨第二点について。
原審における国選弁護人に対し金三千四百円を支給してあるに拘らず、原判決は右訴訟費用の負担を命じなかつたし、その負担させなかつた理由を明示していないのである。しかし主文において訴訟費用を被告人に負担させる旨の裁判をしていないのであるから被告人に利益はあつても不利益を蒙らしめたものではない。もちろん訴訟費用の負担を命じなかつた場合に於て、それがその負担を免除した趣旨であるか否かを判決文に明らかにすることが望ましいに違いないが、それをしなくても被告人に不利益な結果を生じないのであるから、特に刑事訴訟法第百八十一条第一項但書を引用し、訴訟費用の負担を免除した趣旨を明示しなかつたことが所論のように理由不備の違法があるといえないところである。それ故論旨は理由がない。
(加納 吉田作 山岸)